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年齢気にした採用やめよう ヴィジェイ・ディオール エンワールド・ジャパン社長 

私見卓見
2017/11/1 2:30
日本経済新聞 電子版
 
 
 
 
 

 当社は主に日本人バイリンガルを企業に紹介する人材紹介事業を手掛けている。かつてはほとんどが日本に進出した外資系企業からの依頼だったが、最近はグローバル展開する日本企業からの求人依頼が急増している。「語学力×専門スキル」を有する人材はまさに争奪戦となっている。

 だが、正直なところ日本企業は外資系企業に人材獲得で競り負けている。専門性が高くマネジメント経験も有したグローバル人材がほしいという割に、受け入れ体制が整っていないのだ。女性リーダーの登用や新卒採用など、日本企業が変えていくべき課題は山積みである。

 その中でも私が日本の企業に気がついてほしいことがある。「年齢」にとらわれるのはもうやめよう、ということだ。例えば年功序列型の給与体系。これが足かせとなり、ヘッドハンティングなどの際に、外資系企業と提示できる給与額で圧倒的な差が出てしまうことが多い。

 年齢や性別による就業機会の格差も気になる。せっかく優れた人材を紹介しようとしても「その人はいくつですか?」「小さいお子さんがいる女性は」などと敬遠されることも多い。こうした態度は外国人やシニア、女性など、開拓の余地がある人材を取り込むチャンスを失わせる。

 英国では求人票に対象年齢を記載することはもちろん、人材紹介会社も求職者の年齢や誕生日をデータベースに保存することが禁じられている。そのため、転職活動中や働きはじめてからも年齢に言及されることはない。日本にも差別を禁ずる法令があるものの、欧米諸国ほど厳しくない印象だ。より厳格に無差別を義務付ける法令を施行すべきではないだろうか。

 こうした状況を打破するには、権威や規則を尊重する日本の文化を逆手にとるのも一案かもしれない。例えば、夏のクールビズは、小泉純一郎首相(当時)が旗を振ったことですっかり定着した。昨今の働き方改革もそうだが、政府や企業の指導者が明確な方向性を出すと、日本人はそれに忠実に従う傾向があると思う。

 これを利用して、トップ自らが「年齢は気にしない」という方針を明確に打ち出してはどうだろう。年齢を重ねたトップがそういうのもおかしな話かもしれないが、それが日本には特効薬となるだろう。そうしなければ、日本企業がグローバル化の中で生き残れない。